過払い金は全額取り戻すことができるのでしょうか?
また、いつ返ってくるのでしょうか?
法定利率で引き直し計算をした結果、過払いとなっている場合
相手業者は全額を返還する義務があります。
平成18年1月の最高裁判決により、返還義務について否定する
業者はほとんどなくなりました。
しかし、過払い金を払う側の消費者金融業者やクレジット会社と
請求する側では、計算方法(や見解)の相違により、過払い金の
額に違いが出ることがあります。
例えば、利息は発生するのか? 発生するとしてもいつから
発生するのか? 過払い金はどの時点で時効になるのか?
などなど。
しかし、中でも両者が最も激しく争い、計算金額に差が出るのは
途中で完済して、何年(あるいは何ヵ月)かして再度借りた場合の
計算方法です。
法律的なことには触れませんが、場合によっては何十万円
何百万円の差が発生することもあります。
過払い金は、本来全額返還の義務がありますので、話し合いに
よって解決されるのがベストですが、このように大きな差が出て
折り合わない場合は、裁判で決着することも多いです。
以上のようにお互いの計算金額に食い違いがある場合に裁判に
なることが多かったのですが、昨今は金額には食い違いがない
(あるいはあっても少額)のに裁判になるケースが増えています。
これは、過払い金返還請求の増加による消費者金融業者や
クレジット会社の経営状況の悪化が影響しており、ほとんどの
業者は請求(話し合い)の段階で減額を求めてきます。
例えば、過払い元金の7割や半額、ひどいところは1割や5%など
というところもあり、満額(あるいはそれに近い金額)の返還を希望
する場合、前述のような計算方法の食い違い自体はない場合でも
裁判になるのです。
なお、裁判になると相手業者の提案金額が上がって、最終的には
和解になることが多いのですが、最後まで折り合わない場合は
判決となります。
そして、判決が出た以上は諦めて支払いをしてくる業者もあれば
開き直って一切支払いをしない業者もあります。
後者の場合に過払い金を回収するには、強制執行(差押え)を
することになりますが、一般的には不発することが多いでしょう。
また、支払いの時期ですが、以前は早ければ和解から2週間後
遅くても2か月後というのが普通でしたが、業者の資金繰りが
悪化するにつれて、期間が延びており、最近では大手の業者でも
4ヶ月先や6ヶ月先というのが普通です。
中には、1年先で、しかも分割払いなんていう業者もあります。
以上のように過払い金が全額返ってくるかどうか、また、いつ
返ってくるかは、相手業者によって異なりますが、基本的には
早期に全額を返金すべき義務がありますので、粘り強い交渉が
必要となります。