特定調停とは、裁判所を利用して債権者と分割返済の話し合いを
する手続です。
以前は多く利用されていましたが、司法書士に簡易裁判所の
代理権が付与されたことや、利息制限法による引き直し計算を
することに争いがなくなったことにより、分割返済の話し合いは
任意整理(裁判所を利用しない話し合い)によるケースが圧倒的に
多くなったため、今はあまり利用されていません。
しかしながら費用が安くすむため、専門家に依頼せず、自分で
債務整理(分割返済)をしたいといった方には有効です。
なお、自分でするといっても実際の交渉は裁判所の方で間に
入ってやってくれます。
しかし、任意整理と比較した場合に以下にあげるようないくつかの
デメリットもありますので注意が必要です。
1 任意整理は原則として最終の返済日(取引日)における
引き直し計算後の元金だけを分割返済しますが、特定調停の
場合は、通常、調停が成立した日までの損害金も含めて返済
することになります。
したがって残債務の額が大きく、最終の取引日から日にちが
経過している場合は元金以外に返済する+アルファの負担が
けっこう大きくなる場合もあります。
なお、損害金の利率ですが、債権者としては本来は26.28%で
請求できますが、そこは裁判所の方で18%で交渉してくれる
ケースが多いようです。
2 仮に何らかの事情で返済できなくなった場合でも任意整理で
相手と交わした和解書(契約書)では、強制執行はできませんが
特定調停は裁判所での和解のため、調停調書がつくられ
これがあると支払いを怠った場合に強制執行(銀行口座や給料の
差押えなど)をするこてができます。
3 特定調停はあくまでも分割返済の和解を成立させる手続き
ですので、仮に過払いになっている場合でも、裁判所が交渉して
過払い金を取り戻してくれるということはありません。